去年2020年の年初、今頃は醸造所を大きくすることを真剣に考えていていました。
私たちは2017年4月に200Lのタンク2基で醸造を開始、途中に100Lを1基追加、という超!マイクロブルワリー。開業前の想定は年間6-9KL。
有難いことに想定は1年目にしてクリア。それがどんどん倍増、直前の2019年は瀬戸内国際芸術祭の影響も重なり増える一方で、醸造所は悲鳴を上げていました。それは人ももちろん、きっと一番はビール。需要に追いつくため、つくり方、熟成期間、今考えても負担を掛けすぎていたと今でも反省します。
そんなこんなで、このままでは継続できない状況がみえていたし、島外への出荷等は特別なご縁がない限りお断りし続けてきていたので、大きくするなら今!そしてどうせするなら数倍の醸造量。それに耐えうる設備であり余裕あるスペースというのが念頭にありました。
スペースにこだわったのは、私たちは今の醸造所を愛して止まないけれど、スペースの制限にはたった数年で何度も悩んできたから。スペースさえあれば設備を増やすことに難なければ、それ以前に醸造時に籠る湯気と熱でサウナ状態(夏は地獄・・)になることもない。今考えてみれば簡単なことだけれど、開業当初は何もかも手探りで、規模を大きくする日が来るなんて微塵も頭にありませんでした。
大きくすることを考えた時に、まず今の敷地内でできることを考えました。
まめまめびーるの敷地は居宅部分も含め1234㎡!広い。私たちもこの場所に決めた時は、これだけ広かったら色々できる!とその可能性に心躍らせました。が、蓋を開けてみると、建築基準法という壁により、敷地内での新築、10㎡以上の増築、大幅な改築はできない。まだ使用していない登記建物も考えるが広さが足りない。そしてご存知のとおりここは平地でなく、細い坂道に面している住宅地で、工事、その後の原料搬入・出荷を考える程、この敷地で大幅に大きくすることは現実的でないという判断に至りました。
そこで人づたいや自分達の足で他の場所を探し始めました。第二工場や!
早々から候補地は「坂手」しかありませんでした。だいすきな町だし、時間や作業効率も近いに限る。今までだって何度も同じ敷地内・別棟に住居と醸造所(職場)があるこの環境に救われてきました。近いからこそ時間は有効に使えるし、発酵中もすぐ様子を見に行けるし、それでもって別棟なので公私がはっきりと分離できている。案外こども達は親の働く姿をみている。そして何より試飲できる!試飲で酔っぱらっても8割は帰ってこれる(2割はこの距離でも帰ってもれない笑)。そう、一番はそれでした。試飲できなければ困るではないか!というわけで徒歩圏内が必須条件となりました。
さて、ここまであーでもないこーでもない、突拍子ないアイデアを挟みながら、二人で辿り着くのに、数週間から1か月位。それなのにここまで真剣に電卓を叩いたことがありませんでした。大体こんな時に限って、ない財源を考える頭がいつもすっ飛んでしまう。この頃になりようやく、場所を探して港の周りを妄想と共にウロウロしながら、ようやく次の想定規模にした場合のビールのあり方、つくる内容から販路や仕事のスタイル、具体的なことを考え始めました。
確か春前、コロナがテレビの中の遠い出来事だった頃の話かと思います。