2つの店舗での飲食、瓶ビールの販売、オンラインストア、ふるさと納税、島内外の卸売…などなど、販売チャネルが比較的多い私たち。コロナ騒動から1年程経ち、積み上がった数字とよく向き合うと、いかに全国の方々に支えられ今日があるか、身に染みてわかります。
開業したての頃は、できる限りフレッシュなビールをTAPで、醸造所で、島で飲んでもらいたいと強く思っていました。ビールの品質や飲む環境、ビールの地域・社会でのあり方を考えても。
それでも案の定、車社会。島の中でも坂手の坂の上という立地。観光地。さまざまな要因から瓶ビールの需要は根強く、私たちもたくさんのビールをボトルに詰め、「まぁ、これも仕方ないか!」と割り切り、送り出してきたように思います。
その後のコロナ。昨春からオンラインでのご注文がぐっと増えてきました。最初は「店は臨時休業やし、観光客はおらんし、島も自粛ムードで飲み歩く人おらんし、ただただ買ってくださるだけで有難い。」そんな一心でした。
そこから、販売を継続していく中、以前に増してご注文とともにたくさんのメッセージが届くようになりました。「一度お店で飲んでおいしかったから」「屋台でこんな思い出があって」「島で飲んで忘れられない」「また醸造所に行きたい」「また島に行きたい」「大切な人にこの味を伝えたい」等々。私たちの営みや暮らしを気にかけてくださるもの、勇気づけられるコメントもたくさんありました。
気付けば1人1人発送するお客様に名前がつき、中には顔がわかる方、名前を覚えた方からの連続注文もちらほら。そんな方々とやりとりの繰り返し。それはそれで密なコミュニケーションが日課となってきました。お互いの近況を伝えあったり、また島で会える日はたのしみにしあったり。
「そっか、通販のお客様は『通販だけ』のお客様じゃなくって、店と通販は繋がってるんやなぁ」日に日にその実感が強くなりました。店と瓶、店と通販。なんとなく切り離して考えていた各々が、1つのわっかのように。点と点が線になるように。繋がっていく感覚を覚えました。
私たちの常連さんには、毎週きてくれる坂手近隣のご近所さんから、数カ月に1回の島のちょっと遠くの方。1年に何度も来てくれる高松や岡山の方。年に数回きてくれる関西圏の方。もっと遠方から、頻度は少なくても忘れた頃にふらっときてくれる方。また何年後かね、またいつかねって約束を交わす海外の方。
いろんな場所にいろんな暮らしをされている常連さんがいて、それぞれの頻度やスタイルでうちのビールのことを覚えてくれている。瓶で飲めたからOK!はい終わり!でなく、次こそは島で、醸造所のテラスで、屋台で、海を眺めながらビールを飲みに行きたい!と一言を添えてくださるがたくさんいらっしゃる。なんて有難いことだろう。
会えない時を繋いでくれているのが瓶ビール。飲んでもらう場所がいつも醸造所か屋台でなくていいのだ。毎回TAPから注がれたものでなくてもいいのだ。何か月、何年に1度、島に、醸造所に訪れてTAPで飲んでくださる。そんな幾年に1度がゆっくりと折り重なって、いつか何十年に繋がったらいいなー。そんな名前付きのお客様が少しずつこれからも増えていったら嬉しいなー。心の底から思うように、思えるようになったこの一年です。
焦らずにゆっくりと、それぞれのペースで飲みにきてもらえる時をいつもここで待っています。